将来むし歯ゼロを目指して、歯が生え始める生後6ヶ月頃から、歯の生え方に合わせた歯磨き指導やフッ素を使った予防法を伝授するようにしています。
また、離乳食が始まると、お口周りの筋肉や舌の動かし方を学びながら、徐々に上手に食事ができるように発達します。近年、お口の発達が上手く行かないお子さんも増えており、よく咬めないと、唾液が少なく、歯垢が付きやすいため、むし歯になりやすくなります。そこで、悩みに合わせて、お口の訓練法をお伝えするようにしています。
フッ素
フッ素は生えたての歯に取り込むことで、歯の質を強くすることができます。むし歯になりやすい生えたての歯や、歯ぐきがさがった歯の根に塗ると効果が高いです。フッ素塗布や洗口のあと30分は、食べたり飲んだり、うがいもせず、唾液は吐き出してください。
むし歯予防の基本は、生活習慣です。フッ素はむし歯予防の一つとして位置付け、歯みがきを毎日して、歯科医院での定期検診とクリーニングを受けましょう。
尚、フッ素の使用を控えたい方は、事前にお知らせください。
フッ素のはたらき
- 歯の質の強化(むし歯になりにくくする)
- 再石灰化の促進(なりはじめのむし歯を元に戻す)
- むし歯菌の活動抑制(むし歯菌を弱らせる)
フッ素塗布
フッ素を専門家の手で歯の表面に塗布し、歯の質を強くする方法です。
フッ素洗口
毎日1日1回、歯磨き後に30秒ぶくぶくうがいをすることで、歯の質を強くするお家でできる予防法です。
サホライドによるむし歯進行抑制(局所使用)
むし歯の部分にサホライドを塗布するとむし歯の進行を一時的に抑制できます。歯が黒くなりますが、治療困難な小児に対し、相談の上、塗布することがあります。
黄色○がサホライド塗布の写真
赤色〇が、治療協力が得られずサホライド塗布後、数か月後治療ができるようになり、白い詰め物をした時の写真
フッ素入り歯磨き粉
使用法をお教えします。米粒大のフッ素入り歯磨き粉で歯磨きしたあとは、唾を吐く程度で、歯にフッ素は行き渡るようにうがいをしない方法もあります。
フッ素洗口
フッ素洗口とは、家庭で行うむし歯予防で、フッ素を口に含み、1日1回30秒のぶくぶくうがいをするというものです。フッ素洗口により、毎日歯にフッ素を取り込むことで、歯の質が強くなり、むし歯を予防できます。
フッ素がむし歯の予防に効く、という話を時々聞きますが、「フッ素を塗っているから、あとは何もしなくても大丈夫!」というものではありません。定期検診や歯のクリーニングをして、自分でもきちんと歯みがきをした上で、さらにむし歯のリスクを減らすために利用するもの、それがフッ素です。
フッ素洗口についてよくある質問と回答
何歳から出来るの?
A.ぶくぶくうがいが出来る4歳から行うことをおすすめします。適応年齢は4歳から12歳です。
費用はどのくらい?
A.就学前のお子さんは44円/1ヶ月、就学後のお子さんは88円/1ヶ月の費用で、家庭でフッ素洗口をしていただけます。年間に換算すると、前者は500円、後者は1,000円です。ただし、始めに容器代(330円)が必要です。
シーラント
乳臼歯(乳歯の奥歯)や6歳臼歯(永久歯の奥歯)が生えたころは、歯の質が弱く、むし歯になりやすい時期です。
奥歯は噛み合わせの面に溝が深く、ブラッシングをしても上手に歯垢が取れていないこともあります。
生えたての奥歯にむし歯ができる前に、歯の溝を洗浄し、歯を削らず、フッ素入りの樹脂を流し込むことで、清掃しやすい環境を作りむし歯になるリスクを減らす処置をシーラントと言います。保険でできます。
シーラント前
シーラント後
※歯のかみ合わせの面に青い点がありますが、咬み合わせをチェックする為の咬合紙の色で、歯磨きですぐに取れます。
※咬合紙によりシーラント部で咬んでいないかをチェックしています。シーラントが取れないようにするためです。
生えたての歯
乳歯の奥歯が生えてくる3歳ごろ、そして永久歯の奥歯が生えてくる6歳ごろ。このころが、一番むし歯になりはじめやすい時期と言えます。生えたての歯は、歯の質が弱いので、むし歯になりやすいのです。
子どもの歯は大人の歯に比べてずっと溝が深く、むし歯菌が入り込みやすい上に、溝が狭くて形も複雑なので、歯みがきをしても歯ブラシの毛先が溝の奥まで届きません。つまり、むし歯菌のすみかとなります。
むし歯になる前に
生えたての歯がむし歯になる前に、シーラントをおすすめしています。
乳歯の奥歯が生えてきたときと、永久歯の奥歯が生えてきたときが、シーラントのおすすめの時期です。
しかし、シーラントをしたからもう安心!というわけではありません。シーラントは、欠けてしまうこともあります。必ず定期検診を受けてください。