ラバーダムの役割
ラバーダムをご存知でしょうか?
治療する歯の周りにかける薄いゴムの膜のような素材を、ラバーダムといいます。
ちょっと息苦しい感じがしたり、手間だなあと思われるかもしれませんが、ラバーダムにはたくさんの役割があります。
削った歯や金属の破片を飲み込まないようにする役割
むし歯や歯科金属の削りカスは、バキューム(吸引器)では吸い切れないこともあります。特に劣化した保険歯科金属は、たとえ少量であっても、飲み込んでしまわない方がいいでしょう。ラバーダムをすることで、むし歯や歯科金属の削りカスが極力体内に入らないようにできます。
感染予防の役割
歯科治療をするとき、患者さんの唾液や血液が飛び散ることで、院内感染を起こす可能性があります。器具や器材の滅菌や消毒も大切なことですが、ラバーダムで唾液や血液の飛散を防ぐことも、大切な感染予防だと考えています。
治療効率を向上する役割
唾液で治療箇所がぬれてしまうことがないので、より確実に薬剤を塗ったり、歯科材料を接着したりできます。また、ラバーダムをしないとき、歯科医は片手で患者さんの唇や頬を押さえて口の中を見やすくしていますが、ラバーダムをすればその必要がありません。歯科医は自由に両手を使って治療をすることができます。
医療事故防止の役割
歯科治療には、小さな器具を使うこともあります。歯科治療器具が、何かのはずみで外れて、口の中に落下してしまう可能性はゼロとは言い切れません。できるだけ安全な治療を行なうため、医療事故を防止する上でも、ラバーダムは大切な役割を果たしています。
赤字覚悟でラバーダムを使用しています
ラバーダムは、日本ではあまり使用されていません。ラバーダムの保険点数がないのが、その理由の一つです。ラバー自体の値段が約60円~100円くらいですので、ラバーダムを使用する場合の手間や時間、人件費を考えると、完全に赤字になってしまうからです。
ラバーダムをすることによる患者さんのメリットはたくさんあるのですが、歯科医は赤字覚悟です。赤字になったとしても、ラバーダムを使って患者さんの安全を最優先したいと考えています。
ラバーダムを面倒に感じられる患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、あなたの安全と健康を守るため、治療した歯を長持ちさせるためでもありますので、どうかご協力ください。また、息苦しいときなどは遠慮なくおっしゃってください。