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窒息するから食べさせない!より、食べる力を育てる!|高砂市春日野町 村上歯科医院|歯周病、予防歯科、小児歯科|歯科医院 歯医者

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窒息するから食べさせない!より、食べる力を育てる!

保育園での窒息事故のニュースを見るたびに、胸が締めつけられる思いになります。

消費者庁の事故情報データバンクには、食品による窒息・誤嚥事故が継続的に報告されており、その約8割が5歳以下の子どもに集中しています。こうした数字を見ると、窒息事故は決してまれな出来事ではなく、乳幼児期に繰り返し起こりうる重大な事故だとわかります。

近年では、小学校での給食で窒息も起きており、窒息事故が起こる年齢が上がってきていることも注目しています。

尊い命が失われるたびに、「もっと小さく切りましょう」「危険な食材は避けましょう」といった対策が取り上げられますが、本当にその対策で良いのでしょうか?

私は16年目の歯科医師です。いち歯科医師として、子育て中の親御さんに知って頂きたい考え方があります。

 

避けるだけで窒息は防げる?

もちろん、食材の大きさや形を工夫することは、とても大切です。子どもの発達に合わせた、安全な食事の提供は欠かせません。

ただ、現場ではそれだけでは防ぎきれない場面もあります。たとえば、保育園の先生から「刻み食にしているのに、急いで口に詰め込んでしまう子がいる」「ぶどうやミニトマトを丸のみしてしまいそうで怖い」という相談を受けることがあります。丸い食材や、つるっとした食材は、かじる力や噛みつぶす力が十分でない子どもにとって、思わぬ危険につながります。

実際、消費者庁などでも、ぶどう、ミニトマト、もち、パン、肉などが窒息事故の原因として繰り返し注意喚起されています。

しかし、避けるだけで、本当に窒息事故を防ぐことができるのでしょうか。

私は小児歯科医として、「食べることを育てる」という視点がもっと大切ではないかと感じています。

 

「食べる力」は生まれつきではありません

私たちは大人になると、噛んで飲み込むことを当たり前のように行っていますが、赤ちゃんは最初から上手に食べられるわけではありません。

成長とともに、

● 前歯で食べ物をかじり取る

● 舌で食べ物を左右の奥歯へ運ぶ

● 奥歯ですりつぶす

● 唾液と混ぜて飲み込みやすい塊(食塊)を作る

● 安全なタイミングで飲み込む

という一連の動きを少しずつ学んでいきます。

 

つまり、「食べる力」は毎日の食事の中で、繰り返し経験し、学習しながら育っていく機能なのです。

実際に診療室でも、2歳を過ぎてもやわらかい刻み食ばかりで育ってきたお子さんが、前歯でかじり取ることが苦手だったり、パンをちぎれずに口へ押し込んでしまったりする場面があります。見た目には「食べている」ように見えても、口の中では十分に噛めておらず、丸のみにつながっていることがあるのです。

 

小さく刻むだけでは育たないこともある

窒息を恐れるあまり、すべての食材を細かく刻み続けてしまうことがあります。

もちろん、発達段階や障害によっては必要な配慮ですが、それが長く続くと、前歯でかじり取る経験や、奥歯で噛みつぶす経験が少なくなってしまいます。

食べる経験が減ることで、噛む力や舌の動き、口の使い方が十分に育ちにくくなる可能性があります。

だからこそ、「安全」と「発達」の両方を考えることが大切なのです。

 

窒息事故を防ぐために本当に必要なこと

窒息を防ぐには、食材だけを見るのではなく、子どもの「食べる力」を育てる環境づくりが欠かせません。

 

● 発達に合った食材の硬さや大きさを選ぶ

● よく噛める姿勢を整える(足を床につける、テーブルの高さは肘の高さ、腰は立てて90度になるように、お腹とテーブルはこぶし1個分の距離など)

● 一口量を覚えていく(ご家庭での食事で、かじり取る練習を)

● 急がせず、しっかり噛む時間を確保する(「早く食べなさい」は言わないで)

● 食事中は大人が見守り、歩き食べや遊び食べを避ける(食事に集中しないときは、食事を辞める勇気も)

 

こうした積み重ねが、安全な食べ方につながっていきます。

保育の現場でも、「この子はまだ噛むのが苦手だから」と一律にやわらかくするのではなく、その子がどこまでかじれるのか、どこまで噛みつぶせるのかを見ながら、少しずつ次の段階へ進めていくことが大切です。食べる力は、練習の機会があってこそ育ちます。

歯科医院でも個々のお子さんの状況に合わせた食べ方をサポートしておりますので、ご相談くださいませ。

 

「食べること」は命を守る力

食べることは、栄養を摂るためだけではありません。

口や舌、顎を育て、呼吸や発音、そして命を守る飲み込む力を育てることでもあります。

だから私は、「食べることを育てる」という考え方を、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。

事故が起きるたびに食材だけを見直すのではなく、子ども自身が安全に食べられる力を育てる。

その視点が広がれば、悲しい事故を減らすことにつながるかもしれません。

 

そして、保育園に食べる機能を育ててもらえると人任せにするのではなく、ご家庭での取り組みも大切にしていきたいところです。

何度も申し上げますが、食べる力は勝手に育つわけではありません。

初めての食材や窒息しやすいと言われている食材は、親御さんが見守りながら、前歯でかじり取ったり、奥歯ですりつぶす機会をご家庭で作ってあげてください。柔らかく刻むことを、永遠に続けていっていいものではありません。

また、お子さんは親御さんを上手に模倣しますので、親御さんの食事姿を見せることも大事にしてください。

具体的には、お子さんと面と向かって座り、一緒に食事を楽しんだり、親御さんが姿勢正しく、お茶碗をもって、良く噛んで食べている姿を見せてあげましょう。

 

最後に

窒息事故を完全にゼロにすることは簡単ではありません。

だからこそ、私たち大人にできることは、安全対策と同時に、子どもの「食べる機能」を育てることです。

「食べることを育てる。」は事故の予防になります。

将来の歯並びや健康だけでなく、子どもの命を守ることにもつながる大切な子育てなのです。

 

万が一の応急処置が出来るように、わらかじめ背部叩打法や腹部突き上げ法など知っておくことも大事です。

私も含めて日々時間に追われていますが、少しの余裕が必要なのかもしれませんね。
村上歯科医院 副院長 藤原千尋
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