消化吸収にいいから
あごが育てるため
歯並びが少しでも良くなるように
そんな親御さんの優しさから、お子さんに「よく噛みなさい」とお声かけしていませんか?
場合によっては、歯科医院でそのように言われて、そのままご家庭で実践されている方もおられるかもしれません。
もし、そのようなお声かけをしているご家庭があれば、今日から封印してください!
私は16年目の歯科医師で、お口ポカンの我が子に悩んできたママです。
そんな私は「よく噛みなさい」と、我が子に対して声かけしないようにしています。
え?どうして?と思われた親御さん、よく噛んで食べて欲しいのにお子さんが噛んでくれないと悩む親御さん、ぜひ最後まで読んで下さい。
今日からご家庭で出来るヒントをお伝えします。
「よく噛みなさい」とガミガミ叱る日々は今日で終わりにしましょう。
「よく噛む」とは?
結論から言いますと、よく噛むとは、噛む回数を増やしましょうという意味です。
よく噛むと言われると、まず皆様は「固いものを噛む」ことを想像されると思います。
30〜40年ほど前は、固いものを噛むとあごが鍛えられ良いと言われた時代もありましたが、今は違います。
噛むこと自体が退化していることもあり、固いものを与えると、噛む回数を増やすどころか、丸呑みしてしまう方が増えています。
ですから、噛む回数を増やすために、噛む習慣がつくまでは、固いものではなく、固さは普通や柔らかめなものを、食材がドロドロになるまで噛むことを、まず心掛けてください。
「よく噛む」ための準備から
噛む行為は、産れつき備わっている能力ではなく、産まれてから、他人の真似をしたり、体験しながら、食べる経験を積み、学習して得られます。
つまり、勝手にできる行為ではないのです。
ですから、特に小さなお子さんに「よく噛みなさい」と言っても、意味がわかりません。
また、理解力が育ったお子さんでも、噛む経験が積み重なっていなかったり、誤学習をしてしまったお子さんの場合、噛むことが何なのか、分かっていません。
そこで、大事なのは、「噛む」ことは何なのか五感を通して知ってもらうことから始めてほしいのです。
「よく噛む」ための準備として・・・
①両手で、両耳を覆い、噛むときの音を聞いてもらいましょう
⇨くちゃくちゃ、ガリガリ、むぎゅむぎゅ、色んな音が聞こえて来ます。耳からの音で噛む経験を積み重ねてください。お子さんですと、食べ物によって音が違うので、面白がって噛んでくれるようになりますよ。
②両手を、両耳の上に置いて、噛むときの筋肉の動きを体験してもらいましょう
⇨噛みしめた時に、頭の筋肉が動き、頭皮がムニムニ動きます。触覚から、噛むことを感じてください。
③ドロドロになるまで噛んでもらい、見せてもらいましょう
⇨◯回噛んだらOKという訳ではなく、目標はドロドロになるまでです。小さなお子さんでも分かりやすいので、ドロドロを目指すことで、必然的に噛む回数が増えます。お子さんだけでなく、親御さんも一緒にチャレンジしてくださいね。
「よく噛んで」は逃げの言葉?!よく噛まないとおこる弊害
よく噛まないと、どんなことが起こるのでしょうか。
・あごが育たない(顎の発育不全)
・歯並びが悪くなる(叢生)
・丸呑みする
・消化吸収に時間がかかる
などが挙げられます。
歯科医院で歯並びの相談をしに行かれた際に、「まだ矯正治療は早いから、様子をみましょう!あごが育つように、よく噛んでね。」と言われた方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
私はこのような回答をするのが、最も嫌で、無責任だと考えています。
先ほどもお話しましたように、よく噛むとは何か?噛むための準備など、今できることをお伝えくださるクリニックは、信頼できると思います。
少なくとも、私はそのお話をしますし、その先のお口育てについて、様子見ではなく、今できることをお伝えするようにしております。
歯科医院で出来ること
あごが育つためによく噛む習慣をつけてほしいですから、歯科医院では歯並びを育てるお口育てのお話をさせてもらっています。
具体的には、よく噛むための食事環境設定のお話を、まず最初にお話します。
・足が床についた姿勢で食べる
・脇が閉まるようにテーブルの高さは、肘の高さにする
・食器を持ってたべる
・テレビや携帯は消す
・食べ方を見て模倣学習するため、お子さんの正面に座って、親御さんも一緒に食事をする
・エプロンは腕の動きを制限しないように、シリコンエプロンは避けるか、使っても外出時のみにする
ご家庭の状況に合わせて、無理なく、長く細く継続していける方法を、一緒に考えます。
そして、やってみたら何とかできた、できなかったをそのままにせず、できなかったことは代替案をご提案しながら、家庭にお口育てを落とし込むことが、我々歯科関係者のできるお手伝いになります。
最後に
「よく噛みなさい」と叱っても、心にわだかまりができるだけで、何も意味がないことがお分かりいただけましたか?
どうしてもお子さんにお声かけしたいのであれば、「ドロドロになるまで噛むよ〜ママも一緒にするから、ドロドロになったら見せてね」
そう言ってあげてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
食べることは生きること!噛む回数を増やしていきましょう!
ごきげんよう。
村上歯科医院 副院長 藤原千尋
