こんにちは。この記事にたどり着いたあなたは、最近赤ちゃんを産んだ、お母さんではないでしょうか。
ご出産おめでとうございます。
喜びも束の間、産まれてきたばかりの赤ちゃんが、勝手に上手におっぱいを飲めるのかといったら、意外とそうではありません。
赤ちゃんは、お腹の中でおっぱいを飲む練習をして産まれ、そして、今は一生懸命おっぱいを咥えるところから実践をしているはずです。
唇を巻き込んで飲んだり、おっぱいを深く咥えることをしないまま飲んだり、おっぱいを咥えるのが難しい赤ちゃんもいらっしゃいます。
上手く飲めないと悩んでいる、、、そんな時に、一度我が子のお口で見て欲しいのが、上唇のスジ(上唇小帯)と、舌の下のスジ(舌小帯)なんです。
今回は、前者の上唇のスジに注目してお話ししていきます。
乳歯の歯並びに上唇小帯が影響する?
結論から言いますと、上唇小帯は乳歯の歯並びに影響します。
上唇の真ん中にあるスジが、上唇小帯です。
産まれたばかりの頃は、上あごの骨の高さも低く、歯もないため、あごの中心に太くて短いスジが存在しています。
スジの太さと、長さが重要で、ある程度はあごの成長と共に、スジが自然と伸びていきますが、元々太くて長いと自然に伸びにくく、将来の歯並びにも影響するのです。
哺乳が難しい
上唇小帯が太くて短い場合、初めに起きる問題が、哺乳(ほにゅう)です。
いわゆる、おっぱいやミルクを飲む時に、上手く咥えられえず「飲めない!」「飲むのに時間がかかる!」このような状況が起きるのです。
これは、上唇小帯が上唇を引っ張り、上手く上唇が動かないのが原因です。
そんな時は、すぐに身近な助産師さんに相談してください。
ご相談いただければ、我々も歯科医師も診察します。その際も、必ず助産師さんにも診てもらうようにしています。
お口おぽかん
次に起こり得るのが、お口ぽかんです。
お口ぽかんの原因の一つに、上唇のスジが太くて短いことが挙げられます。
上唇の動きが悪く、唇が閉じにくくなるからです。
上唇小帯は、自然と上方に移動したり、伸びてくることも多いので、他の原因にもアプローチした方がお口ぽかんは改善しやすいです。
すきっ歯
乳歯の上の前歯が生えてくるのは、大体6ヶ月~8ヶ月頃。
その頃に、上唇小帯が太くて短いと、スジが邪魔をして、前歯がすきっ歯になります。
上唇を使って食べ物にかぶりついたり、唇を動かして話すようになると、自然とスジが伸びますので、永久歯が生える6歳頃までに伸びることができれば、永久歯の歯並びには影響しません。
乳歯列のうちに、たくさん唇を動かしましょう。
虫歯
上唇小帯が太くて短いと、そこに母乳やミルクが溜まり、虫歯になりやすくなります。
母乳自体は虫歯になりませんが、離乳食が始まって炭水化物を食べるようになると、虫歯が出来やすくなるんですね。
前歯のスジの左右をガーゼで拭うといいです。是非、実践されてみてくださいね。
但し、スジを歯ブラシで擦るとかなり痛むので、乱暴に仕上げ磨きをされるのだけは避けてください。
歯磨きイヤイヤは、上唇小帯を触られるのが嫌というケースもこれまで沢山みてきました。
上唇小帯を親御さんの指で保護して、歯ブラシをすると痛がりません。
くちゃくちゃ食べ
離乳食が始まって、進んで行っても、くちゃくちゃ音を立てて食べている場合は、お口を閉じる力が育っていないです。
いわゆる筋力が少ない場合もありますが、上唇小帯が太くて短いことが影響していないか、検診もかねて、歯医者さんで判断してもうといいですね。
上唇小帯の対策~乳歯の歯並びが良くなるために~
哺乳に対して
哺乳が出来ないまま過ごすことは、命に関わりますので、すぐに助産師さんに相談してほしいです。
おっぱいを深く咥え、ラッチオンして飲む哺乳は、あごを育てて、いい歯並びを作る初めの第一歩になります!
今回は割愛しておりますが、上唇小帯よりも舌小帯が上手く動かない方が、哺乳への影響は大きいです。
上唇小帯、舌小帯、共に確認してもらえますでご安心くださいませ。
哺乳が出来なくて舌小帯を切ることは稀にありますが、上唇小帯を切ることはほぼありません。
乳歯が生えてくる前
歯が生えていないからと、何もしないのはもったいないです!
歯が生えていない時だからこそ、お口のマッサージをしませんか。お口の中を積極的に触ってあげてください。
お口のマッサージは、頬や唇の筋肉を緩め、舌の動きを良くします。上唇小帯も舌小帯もぐんぐん伸ばします。
マッサージの力加減は、バナナが潰れない力です。
効果はスジだけではなく、離乳食の導入が上手くいきやすかったり、仕上げ磨きへの移行が楽になることに繋がります。
やり方は是非、歯医者さんで教わってくださいね。
あごが成長しやすい環境作りにも役立ちます。あごの成長は歯並びの土台ですから。
乳歯が生えてきた後
乳歯が生えてきてからでも、お口のマッサージは遅くありませんので、やってみてほしいです。
前から4番目の乳歯が咬みあうと、あくまで一つの目安ですが、そろそろ卒乳する時期です。
食べ物がどろどろになるまで良く噛んで、あごを育てましょう。
前から3番目の永久歯(犬歯)が生えてくる頃
この頃、自然に上唇小帯が上方移動せず、スジが伸びないままの場合は、前歯がすきっ歯になっているはずです。
歯にスキマがあること自体はとてもいいことなのですが、前から3番目の犬歯が生える前に上唇小帯が伸びていないと、すきっ歯のまま治ることはありません。
自然にすきっ歯を治すのが絶望的になり、矯正が必要になりますのでご注意ください。
逆に、前歯から3番目の永久歯が生える前にスジを切除すれば、自然な力で前歯のスキマをなくなります。嬉しいでしょう。
小児歯科受診のタイミング
乳幼児期は自然とあごの成長と共に、スジが上方移動して、伸びることが多く、切除が必要なケースは限られます。
ですが、「うちの子はスジが太短い気がする」を思ったときは、一度受診をおすすめします。
その際は、唇、舌の動きをみて、あごの成長や食べる、飲み込む、呼吸することが機能しているか、見極めてもらいましょう。
自然に切れた時のご家庭で出来ること
意外と多いのが、2~3歳頃に転倒して顔をぶつけて、上唇小帯が切れた!というハプニング。
切れると伸びるので、とてもラッキー!
切れると一時的に血が出ますが、圧迫止血して出血が止まれば、次の日からスジをそっと伸ばすマッサージを焼く10日ほどしてください。
切れたままスジが伸びても、動かさないと、元の位置にスジが修復されてしまったり、上唇の動く範囲が小さくなったりすることがありますので、油断してはいけませんよ。

この写真は、2歳のお子さんがスジが切れた翌日の写真です。
当院の取り組み
村上歯科医院では、あごを積極的に動かし、上唇が動くことであごが成長し、スジが伸びることを理想としています。
乳幼児以上のお子さんには、お口のマッサージを伝授したり、5歳以降のお子さんには、ガム咬み訓練を実践してもらい、咬むこと、唇を閉じること、上唇を動かすことをお伝えしています。
お口が機能することでスジが伸びていくことを目指しています。
ですから、上唇小帯を切るケースは、前から3番目の歯が生えてくる前に、スジが影響してすきっ歯が自然に治りにくい場合だけですね。
上唇を引っ張れば、スジに貧血帯ができます。要は、周りの歯ぐきより、スジだけ白くなるんです。
その白い部分が、前歯の間のあごにまで広がっている場合は、切除の可能性が高いと考えてください。
当院では特殊なレーザーで無痛で処置できますので、心配しすぎることはありませんよ。お任せくださいね。
また、当院で行っている子どもの矯正、すなはち顎顔面矯正治療は、あごを育てるので、自然に上唇小帯が上方に移動し、伸びます。
それは骨格を正しい大きさに戻すから、そして骨格に合った機能を獲得するための筋機能訓練(MFT)を行っているからです。
最後までお読みいただきましてありがとうございます!
スジが悪者ではありません。
お口をいっぱい使って、お口を機能させることに全力で子育てしていきましょう。
その暁には、あごがしっかり育ち、歯並びが美しくなる未来が待っています。
副院長 藤原千尋
